固定120録音の研究評価 · 2026年10月22日
Apronの無編集と音高±3半音を測る
同じ英語120録音・40話者を使い、現在の作業ベース Apron(LLSM2 Layer1)と比較方式 LLSM2 Layer0 の無編集出力を照合しました。4指標のうちApronが上位なのは予測MOSとECAPA、Layer0が上位なのはSCOREQ距離とeSTOIです。後発の補助比較では、−3半音・+3半音のどちらでもApronの平均UTMOSv2とECAPAがLayer0を上回りました。指標を合わせた総合順位は付けません。
まず、無編集の対応比較
各方式120録音。表は保存済み個票の単純平均です。太字はこの2方式の記述的な1位です。予測MOSは人の評定ではなく、ECAPAは人が保証した話者同一性ではありません。
| 指標・採点範囲 | Apron・無編集 | Layer0・無編集 | 方向 |
|---|---|---|---|
| UTMOSv2・24 kHz native全長 | 1位 3.0938 | 2位 3.0838 | 高い方 |
| ECAPA・固定16 kHz共通先頭区間 | 1位 0.95736 | 2位 0.95691 | 高い方 |
| SCOREQ・同じ固定先頭区間 | 2位 0.24348 | 1位 0.24101 | 距離が低い方 |
| eSTOI・同じ固定先頭区間 | 2位 0.93054 | 1位 0.93245 | 高い方 |
各行は同じ120録音で比較しています。UTMOSv2は全長、他の無編集3指標は入力manifestに固定された先頭の共通区間です。区間の異なる行同士を一つの順位にまとめません。旧PMLは当時の評価として保持し、今回は採点器・出力の同一契約を確認した共同順位へは入れていません。
編集後の出力は別の範囲で見る
Apronの−3半音と+3半音も各120録音です。音高を意図的に変えた出力へ参照忠実度のSCOREQやeSTOIは掛けていません。最初の評価ではLayer0編集出力を測定していませんでした。集計を見た後に計画した補助対照を次節に分けて掲載します。
| Apronの条件 | UTMOSv2・native全長 | ECAPA・編集全長 |
|---|---|---|
| −3半音 | 3.1200 | 0.83928 |
| +3半音 | 2.7907 | 0.86129 |
編集ECAPAは、元の入力抜粋全長と編集後の出力全長をそれぞれ16 kHzへ変換した値です。無編集表の「固定先頭区間」と採点範囲が違うため、両者の差を編集による話者性の減少量とは扱いません。
後発の補助対照:同じ録音のLayer0編集
最初の固定120録音評価の集計を見た後、Layer0の−3・+3半音を対照にする補助計画を立てました。これは最初の計画に事前登録された比較ではありません。新たにLayer0の240波形と品質720個票を測り、元評価の条件が合う720個票を引用しました。全120録音・40話者で欠測はありません。
| 方式・条件 | UTMOSv2・native全長 | ECAPA・元抜粋全長と出力全長 |
|---|---|---|
| Apron・無編集 | 1位 3.0938 | 1位 0.95741 |
| Layer0・無編集 | 2位 3.0838 | 2位 0.95692 |
| Apron・−3半音 | 1位 3.1200 | 1位 0.83928 |
| Layer0・−3半音 | 2位 2.8221 | 2位 0.48721 |
| Apron・+3半音 | 1位 2.7907 | 1位 0.86129 |
| Layer0・+3半音 | 2位 2.6383 | 2位 0.42262 |
各セルは120録音の保存値の単純平均です。順位は同じ音高操作・同じ指標の2方式だけを比べた記述で、異なる操作や指標を横断した順位ではありません。UTMOSv2はnative出力全長、ECAPAは元の入力抜粋と出力の各全長を個別に16 kHzへ変換して採点しました。上の最初の無編集比較表のECAPAは固定先頭区間であり、この表の無編集ECAPAへ差し替えたり、両範囲を引いたりしません。
| 指標・操作 | 編集後 Apron−Layer0 | Apron 編集後−無編集 | Layer0 編集後−無編集 | 変化量の差 |
|---|---|---|---|---|
| UTMOSv2・−3半音 | 0.2980 | 0.0262 | -0.2617 | 0.2879 |
| UTMOSv2・+3半音 | 0.1523 | -0.3032 | -0.4454 | 0.1423 |
| ECAPA・−3半音 | 0.35207 | -0.11813 | -0.46972 | 0.35158 |
| ECAPA・+3半音 | 0.43867 | -0.09612 | -0.53431 | 0.43819 |
差は録音ごとに計算し、120件を平均しました。「変化量の差」は〈Apron編集後−Apron無編集〉−〈Layer0編集後−Layer0無編集〉です。−3と+3は別々に扱います。この範囲ではApronの平均予測MOSとECAPAが−3半音・+3半音のどちらでもLayer0を上回りました。一方、これだけで真のF0精度、生理的な話者性、原因、48 kHzや他言語での品質、方式の総合優位は分かりません。初回のSCOREQ・eSTOIは意図的な音高編集へ適用していません。
全桁の集計と対応差、新規720個票、引用した元個票の位置と実行来歴、保存結果の別経路照合を公開しています。元の1440個票は変更していません。
短い音声で条件を確認する
LibriSpeech test-cleanから公開用に事前固定した2録音です。各音声は先頭5秒。再生用だけPCM16へ変換し、音量正規化、位置合わせ、クリッピングは加えていません。原音は16 kHz、方式出力は24 kHzです。このプレビューWAVは採点していません。指標は保存した元の波形から、上記の指標ごとに定めた全長または固定先頭区間で計算しました。
1089-134686-0008
原音
Apron・無編集
Apron・−3半音
LLSM2 Layer0・−3半音
Apron・+3半音
LLSM2 Layer0・+3半音
LLSM2 Layer0・無編集
1188-133604-0003
原音
Apron・無編集
Apron・−3半音
LLSM2 Layer0・−3半音
Apron・+3半音
LLSM2 Layer0・+3半音
LLSM2 Layer0・無編集
出典・CC BY 4.0・改変の内訳は音声の帰属へ。元の10ファイルと今回の4ファイルの元データ照合と変換条件は音声manifestに記録しました。JVS音声とユーザーの非公開音声は含みません。
完了範囲と読み方
Apron 3条件360波形とLayer0無編集120波形、計480波形を保存しました。予定した品質値1440件は全件測定され、欠測は0件です。後発の補助計画ではLayer0編集240波形・品質720個票を追加し、こちらも欠測は0件です。元入力は16 kHzの英語朗読です。出力は24 kHzで、48 kHzへの適用や日本語・会話などへの一般化は、この測定では確認していません。順位はこの集合・採点区間・評価器での記述です。
固定sourceと入力・モデル資産のSHA、指標ごとの合計・件数・最小・最大・平均は来歴と集計値へ。公開入力の全1440個票も、録音ID・採点範囲・標本数・波形とPCMのSHA付きで保存しました。保存済み値を同じ環境の別集計経路で照合し、個票・波形・参照PCMの対応に不一致はありませんでした。独立環境での再測定ではありません。最初の起動では環境に /usr/bin/time がなく、科学処理前に終了127・出力0でした。失敗記録をローカルで保持し、次の固定実行とは区別しています。再現条件と限界にも記載しました。
実装上の未確認事項は、一本のF0系列に関する調査と48 kHzへ拡張する前の条件整理に分けてあります。いずれも今回のF0精度や48 kHz品質を測った結果ではありません。