実験一覧へ
48 kHz化で高域の不足は減るが、品質指標は分かれる
集計作成: 2026-10-25T03:20:26.744849+00:00 / 40話者・120録音 / 基準: Apron
48 kHz版は高域のパワー不足を大きく減らし、無編集の自動MOSも3.285から3.337へ上がりました。一方、話者類似度・明瞭性・参照付き品質距離は24 kHz版より悪化しました。固定120録音で、品質指標の改善と悪化が分かれています。
作業ベースはApron 24 kHzを維持します。Apron48の解析・合成は全件成功しましたが、48 kHzへ変えただけで全ての観点で良くなったとは判断しません。
最初の実行では、私が作成した設定確認の誤りでApron48だけが保存前に停止しました。確認先を直して候補だけを別実行で測り直し、成功済みの対照は再利用しています。旧失敗も結果に残しています。
まず無編集の品質を比べる
↑は大きい方、↓は小さい方が指標上は良い値です。自動MOSは24 kHz、他の品質指標は16 kHzへ投影しています。12 kHz超の知覚品質を示す表ではありません。
先に選んだ3録音で音を比べる
例は結果を見る前に固定しました。各方式の元の標本化周波数を保った最大5秒の音声です。同じ録音の全条件へ同じ掲載用倍率を掛け、個別の音量正規化はしていません。出典と変換内容
p225_029
Apron 24 kHz(作業ベース) / 無編集
Apron 24 kHz(作業ベース) / −3半音
Apron 24 kHz(作業ベース) / +3半音
p226_061
Apron 24 kHz(作業ベース) / 無編集
Apron 24 kHz(作業ベース) / −3半音
Apron 24 kHz(作業ベース) / +3半音
p227_065
Apron 24 kHz(作業ベース) / 無編集
Apron 24 kHz(作業ベース) / −3半音
Apron 24 kHz(作業ベース) / +3半音
音高を変えた条件も同じ録音で比較する
編集条件の話者類似度は元音声を参照するため、意図した音高変更と劣化を完全には区別しません。
−3半音
+3半音
対応差と高域の物理量
12–16 kHzの帯域パワー差の平均はApron24の−16.886 dBからApron48の−0.631 dBへ、16–24 kHzは−33.548 dBから−0.665 dBへ近づきました。これは物理量の比較です。高域の知覚的な自然さを自動MOSで確認した結果ではありません。全帯域の対数振幅差は減りましたが、振幅の大きい成分の影響を受けるスペクトル収束度は悪化しています。
指標・編集・区間ごとの対応差の平均を見る
符号は左の方式−右の方式です。SCOREQだけは負の差が指標上の改善です。探索的な記述で、有意差を示す検定ではありません。話者平均は有効な対応録音を話者内で平均した値です。部分測定では3録音が揃わない話者が含まれるため、その人数も併記します。録音別の差はJSONに保存しています。
帯域パワー差は正なら過大、負なら過小です。0に近い平均でも録音ごとの過大・過小が相殺される場合があります。順位は付けません。
3種類の時間窓でスペクトル差を見る
いずれも小さい方が原音に近い値ですが、時間・音量整列はしていません。知覚品質の順位には使いません。
方法と確認できた範囲
同じVCTK 0.92の120録音を、現在の作業ベースApron(24 kHz)、48 kHzで処理するApronの候補、既存方式WORLD(Harvest、48 kHz)へ渡す。元のLibriSpeech比較とは別の録音集合なので、過去の平均値と差し引かない。方式ごとの優劣は今回の同じ録音同士で比べる。
固定版はリポジトリ 3f7b509b8313b5803dce2e1ededc8db9920367f1、LLSM2 d18cdf02b31819670e3bc23ead933ad9467da06d、ciglet 895ba9b1c0eabee83d3544208bbc82420efa3206、WORLD c794856b537758a3d300757db2e5e31685a822c2。品質モデルは実行前にファイルのサイズとSHA256を固定した。
入力を変えず、出力の標本化周波数を分ける
VCTKの48 kHz・16 bit配布音声から、40話者各3録音を実行前に固定した。各録音は先頭最大6秒、マイク1を使う。配布時の48 kHzを保ち、16 bit整数を32768で割ったfloat64のNPYを入力原本とする。親が全120ファイルのhash、型、標本数を確認した。
Apron24はこの入力をSciPyのresample_poly(1,2)で24 kHzへ落として解析する。Apron48とWORLD48は元の48 kHzを使う。無編集・−3半音・+3半音は同じ保存特徴から独立に復元し、前の編集状態を次へ渡さない。
Apron48は既存のLLSM2 Layer1を48 kHzへ適用した候補で、声道包絡1025点、雑音PSD128点、FFT2048点などは元の設定を維持する。標本化周波数を上げるとHz単位の分解能も変わるため、Apron24との差は「12 kHz超の成分を加えた効果」だけには分けられない。
確認処理の誤りを直し、失敗した方式だけを再計測した
最初の実行v3では、Apron48の解析後確認で全120録音が失敗した。親が作成した確認処理が、上流設定の番号1をNyquist周波数として読んでいたためである。実際の番号1はフレーム間隔、周波数は番号6だった。同じ誤りが復元時の確認にもあった。
この2か所を直したv4を別に保存し、Apron48だけを新しい実行先で解析からやり直した。旧実行では保存前に止まっており、復号だけの再開はできない。上流C、入力、解析・合成設定、乱数seed、モデル、品質値の計算は変えない。v4の追加CLI引数は対象方式をApron48へ絞るためのものである。
原音とApron24・WORLD48の品質値は成功済みのv3を使う。旧Apron48の失敗記録を削除したり成功へ書き換えたりせず、結果JSONには旧実行と修正実行を区別して収録する。この失敗は方式の音質が悪かった証拠ではない。
自動指標が見る帯域と区間を揃える
全長の自動MOS(UTMOSv2)は24 kHzへ投影し、原音と3方式の各編集を測る。話者の類似度を推定するECAPAは16 kHz投影の全長と、無編集の共通先頭区間を別々に測る。参照付き品質距離SCOREQと明瞭性の推定eSTOIは、無編集の共通先頭区間だけを使う。eSTOIは内部でさらに10 kHzへ変換する。
品質専用環境はNumPy 2.3.5、SciPy 1.17.0、torch/torchaudio 2.8.0+cpu、speechbrain 1.0.3、onnxruntime 1.22.0などをlockで固定した。nativeの解析・合成とは別環境で、同じ固定モデル資産を各担当が照合してから使う。元の環境に不足していたspeechbrainとonnxruntimeを揃えたものであり、旧比較の全依存と同一とは主張しない。
SCOREQはNISQA TRAIN SIM由来の参照付きモデル(fixed_nmr_telephone)を使う。公開元は自然音声の符号化・通信劣化などを対象としており、今回のボコーダー再合成に対する人の評定との対応は別途確認していない。モデルの説明
UTMOS・ECAPA・eSTOIは大きい方、SCOREQは小さい方が指標上は良い。音高を変えたときのECAPAは元音声との類似度なので、意図した編集と劣化を完全には区別しない。自動MOSも人が今回聴いて評定した値ではない。
12 kHz超は物理量を調べ、知覚品質と分ける
無編集の共通先頭区間を48 kHzで比較する。周波数帯は0–4、4–8、8–12、12–16、16–24 kHz。原音の帯域パワーが max(10⁻¹², 原音全体のパワー×10⁻⁶) を超える場合にだけ、出力と原音の比をdBで示す。原音の成分がほとんどない帯域は欠測とし、0 dBへ置き換えない。
帯域差は正なら過大、負なら過小であり、単に大きい方が良い値ではない。帯域パワーは切り出した区間のDFTから求めるため、境界でのスペクトル漏れも含む。高域に値があることだけで、聴覚上有用な成分が保たれたとは判断しない。符号付き平均は過大と過小が相殺し得るため、録音ごとの値と有効件数も残す。5・20・80 msの時間窓によるスペクトル差も測るが、時間整列・音量正規化は行わず、タイミングや音量の差を含む。
Apron24を比較用に48 kHzへ補間しても、12 kHz超の原音内容が復元されるわけではない。また、自動MOSは24 kHz、他の指標は16 kHzへ投影するため、これらの品質値から12 kHz超の知覚的な自然さは判断できない。
揃った録音同士で差を出す
予定した3360品質キーを全て追跡する。失敗、採点不能、未実行、保持した記録がない状態を区別する。重複や整合しない個票を有効値として数えず、欠測はゼロ補完しない。
指標・編集・区間が同じ群で3方式が各120録音揃った場合だけ順位を示す。原音は参照で、候補の順位に入れない。対応差は同じ録音同士だけを使い、録音平均と話者内平均をさらに40話者で等重み平均した値を分ける。各話者の3録音が揃ったかも明記する。総合順位、統計的有意差、信頼区間、独立した正解F0の精度は今回の対象にしない。
全個票と、先に決めた3録音の波形を保持する
各担当は全品質個票、高帯域診断、nativeの記録、実行ログ、環境版、ファイル識別台帳を保存する。全入力は別途完全に保持済み。出力波形は事前に選んだp225_029、p226_061、p227_065の原入力と利用できる全方式・全編集を親が保持・照合する。
その他の全長波形と保存状態は担当の作業領域に残すが、永続的な外部保持までは保証しない。親の確認は全個票・記録・保持した例波形が対象で、全出力波形の独立再計算ではない。
次の判断
次は値を見ながら細かい設定を探すのではなく、周波数分解能と音高推定の違いを分けて調べます。同じ配列長を48 kHzへ使うと、声道包絡と雑音PSDのHz単位の間隔は広がります。まず保存済みF0を回収し、推定系列自体も変わったかを確認します。これは追加の事後診断であり、正解F0の精度や劣化原因を今回の比較だけで断定しません。
集計・全個票・旧失敗のJSON / 保持資料の照合範囲 / 方法の本文